「貧乏は自己責任」―週刊金曜日が激白か?

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 上の記事のbefore/afterで取り上げた「年金と生活保護が月たった5万のBIにとってかわるダンコーガイワールド」(©hokusyuさん)については、お約束どおり(?)『週刊金曜日』の北村編集長がもてはやしている*1のでした。こうなってくると、『金曜日』編集部には、かなり過酷な読者削減ノルマが課せられているのではないか、という疑惑さえ濃厚に漂ってきます*2

――先ほどの話と関連しますが、食べられない人が現実にいます。格差・貧困が広がっている。近著『弾言』(アスペクト社刊)の中で、IT長者のあなたがベーシック・インカム(最低限所得保障制度)を提唱しているのには驚きました(笑い)。

 悪く言えば、捨扶持ということですが、より根源的に言えばまずは無職という職業を認めろということです。そして次に、働くことは義務ではなく権利だということです。ワーキング・プアと呼ばれる人たちは、彼らの能力が生かせるものがないということだと思うのです。

――例えば、月一〇万円を保証するから権利として自分のやりたい仕事を考えろということですか。

 そうですね。目指すものがある人はたとえカネがなくても精神的にプアじゃない。だから、あの本で僕は「自分のゲームを作れ」という言い方をしました。貧困の根絶以上に難しいのは、目指すもの、つまりやる気の欠落だと思います。

 かつては井戸まで水を汲みに行かなくては生きていけなかった。状況が個人を突き動かしていたわけです。やる気がなければ、死ぬだけでした。しかし今は、やる気がなくても生きていくことは何とかできる。底辺といわれる人もネットを使えてしまうでしょ。全体として間違いなく豊かになっているんです。なぜかと言えば、日本人よりも安く物を作るスーパー・ワーキング・プアが存在するからです。難しいのはこの構造です。*3

 「ダンコーガイワールド」の醜悪さについては、hokusyuさんのエントリーに詳しいです。

 過ぎ去ろうとしない過去:「ベーシック・インカムという脅迫」
 http://d.hatena.ne.jp/hokusyu/20080506/p1

 こうした主張の醜悪さを批判するどころか、それに便乗しようとする週刊金曜日が終わっているのは当然のこととして、より注目すべき点は、小飼弾のようなゴリゴリの新自由主義者が、日本社会の「豊かさ」の源泉を外国人労働者の存在に見ていることだと思います。これは、「<平和>な日本社会を「新自由主義」または「外国人」から守らなければならない」とする「レイシスト保護主義グループ」の妄想とは対照的な認識であり、したがって、新自由主義者が日本社会の「豊かさ」について正しく理解していることを意味します。つまり、この点において、レイシスト保護主義者よりも新自由主義者の方が、はるかにまともなわけですね。

 私にも話させて:「排外主義としての護憲論――森永卓郎
 http://watashinim.exblog.jp/9727044/

 話を『金曜日』に戻すと、『金曜日』では先号(5/1号)から、「お金があまりない人のためのマネー術」という新シリーズが始まりましたが、『いつのまにかお金がなくなる人のための 今度こそ貯金ができる方法』の著者でもある丸田潔は、今も知人に借金をしているそうなので*4、説得力がないにも程があります。てか、どんだけ読者をナメてんだよ?

 今週号(5/15号)では、なんとコンビニのATMは手数料がかかるから注意しよう!という驚くべき「マネー術」が披露されていました。言うまでもなく、こんな「マネー術」とやらは、マスコミ関係者や政治家でもない限り、誰でも知っているのであって、『金曜日』が想定している読者層の実在そのものが激しく疑われる顕著な例だと思います。それとも実は、これは経営が厳しい『金曜日』編集部による、「貧乏は自己責任だ。その証拠に俺様を見るがよい!」という激白だったりするのでしょうか?もう意味不明すぎなんですが。

 『金曜日』では、そう遠くないうちに、「貧乏人こそ結婚できる!?〜一人暮らし→二人暮らしで脅威の節約術!!!!!!!!!!〜」とか、「コンビニ弁当の容器で野菜を育てるには〜ポストモダン畑をあなたの部屋に♪〜」といった残念な企画が目白押しになる予感がします。なんとなく。そういえば、『金曜日』の「編集ぶろぐ」では、「セクシー大根」*5がお披露目されていましたが・・・。

『金曜日』編集部の「セクシー大根」

追記

 諸事情により一週間ほどブログにアクセスできませんでした。

>コメントをくださっていたみなさま

 本当に大変申し訳ありませんでした。先ほどすべてのコメントにお返事をしましたので、今さらと思われるかもしれませんが、目を通していただければ幸いです。

*1:http://www.fujisan.co.jp/Product/5723/b/234366/

*2:ただし何のためにかは不明。

*3:「人気ブロガーが語る ネットの未来」、『週刊金曜日』、2009年2月27日号、p.52

*4:しかも初回の記事にわざわざそう書いてある。

*5:http://www.kinyobi.co.jp/blog/?p=1963