media debugger の説明書

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を通じて読者・視聴者のセキュリティ向上を目指します。

 ・・・ということで始めてみました。いつまで続くかわかりませんが、とりあえずよろしくお願いします。

ガザのリアリティ

 ガザの映像を探していて最初に見つけた動画を紹介します。これは、"Occupation 101: Voice of the Silenced Majority"という2006年に公開されたドキュメンタリー映画*1の一部で、"Gaza's Reality"というタイトルでYouTubeから見ることができます。

Gaza's Reality (Occupation 101 Movie Clip)

 途中までですが、参考までに日本語に訳してみました(訳は正確でない可能性がありますがご了承ください)。


ナレーション

たとえイスラエルとの武力衝突が起こっていないとしても、難民キャンプの状況はぞっとするほど非人間的なものだ。人々がひしめき合い、14人から25人もの人々がひとつのスペース*2に押し込められている。子どもたちの居場所はない。路上には植物や樹木もない。本当に何もないのだ。


字幕

ガザのパレスチナ人は数世代にわたって難民キャンプで生まれ育っている。1948年に70万人以上だった難民キャンプの人口は、今日では425万5120人に上っている。


パレスチナの子ども

「あなたはここで暮らせる?ここで・・・。できっこないよね。だって、とってもひどい状況だから。ミサイルが落ちてくるたびに怖い思いをするし、壁だって壊れてきちゃうんだよ!」


パレスチナの子ども

「ミサイルが飛んできて窓が割れちゃったんだよ。全部壊れて燃えちゃった。イスラエルの人たちは、どうして私の持ち物を壊したりしたの?・・・私のおもちゃを壊したりしたの?私が持ってた物はいっぱいなくなっちゃった。みんなゴミになっちゃったから。服も捨てたんだよ。近所の人たちにお願いして服をもらってきたんだよ。食べ物はね、ガソリンみたいな匂いがするんだよ。服は捨てたくないよ・・・ガソリンみたいな匂いがしてもね。私たちの服をかいでみたらすぐわかるよ!イスラエルの人たちもここに来て私たちの服をかいでみたらいいよ・・・それでね、私たちの家を見に来ればいいのに・・・シャワーを浴びてると、ううん、家で何をしててもね、ガソリンの匂いで息ができなくて死んじゃいそうになるんだよ!ここに来て私の服を見て・・・匂いをかいでみて・・・ガソリンの匂いがするでしょ。ねえ、どうしよう?パパがくれたサングラス、まだかけたことなかったんだよ。ママがくれたブレスレットもネックレスだって・・・。まだ指輪もつけたことなかったんだよ。もう全部なくなっちゃって、どうしよう?・・・どうしよう?もうお洒落もできないよ!」


パレスチナの母親

子どもたちは生活をしていくことさえできません。どうやって生きていけばよいのかわからないのです。いつも不安と背中合わせで暮らしています。不安と恐怖をかかえながら生きています!


パレスチナの子ども

学校に行く途中で銃声が聞こえるんだよ。銃撃はすごく怖い。体がブルブル震えてくるんだよ。


トマス・ゲットマン/ワールド・ビジョンエルサレム ディレクター

「これが君たちの近所に撃ち込まれた弾丸だね」

パレスチナの子どもたち

「そうだよ、そうだよ」


ゲットマン

「ここに住んでいるのは民間人だけで兵士はいないのに。ここには軍事施設もない。これは、ここに住む人々を追い出そうとするための執拗な嫌がらせだ。彼らはパレスチナ人をこの地域から抹殺したがっている。これがその証拠だ。こうやって、人々に屈辱を与えて追いつめようとしているんだ」


*1:2007年ビバリーヒルズ国際映画祭のパルム・ドール(最高賞)を始め多数の賞を受賞している。公式サイト: http://www.occupation101.com/

*2:訳注:アパートの一部屋など

ガザで起こっているのは「戦争」じゃない(1)

 イスラエル軍がガザへの地上侵攻を開始してから今日で3日。本日は、朝日・産経・東京などの各紙が、この問題を社説で取り上げていたので、そのうち朝日の記事をデバッグします。

ガザ侵攻 国際社会は停戦に動け(2009.01.06 朝日新聞 社説)

 パレスチナで戦争が激化している。年末から自治区ガザを空爆していたイスラエル軍が、戦車などで本格的に攻め込んだ。

 冒頭からいきなりのバグ発生。今ガザで起こっていることを「戦争」と呼ぶのは、ボブ・サップが咆哮するリングにあなたを放り込んでおいて、それをK-1だと言い張っているようなものだ。まさに血祭り。それって、紛争でも戦闘でも戦争でもなく、限りなくほぼ一方的な殺戮でしょ。

 え?ハマスによるロケット弾攻撃でイスラエル側にも死者が出ているじゃないかって?はいその通り。ハマスの誇るカッサム・ロケットは、500発に1発というすさまじい割合で、イスラエル人を殺しているそうです。

 ではパレスチナ人側の死傷者は?本日付のP-navi info によると、「ガザ全面攻撃に入ってから10日目、殺されたガザの人は534人、負傷させられた人は2530人(うち重体が300人)になったと報じられている」。繰り返すけれど、これを「戦争」と呼ぶなら、あなたが車に轢かれたとしても、それは一対一の「肉弾対決」だ。スポーツマンシップに則って、どうか成仏してください。

 空爆でこれまでに500人以上が死んだ。ガザにある独立系の人権団体は、その2割が子供たちだと報告している。地上戦でも犠牲者が出ている。

 同じく、P-navi info によると、地上侵攻が始まってからは、80人ほどが殺され、そのうち70人が民間人だという」

 この事態に、国際社会はまったく無力だ。国連安全保障理事会は即時停戦を求める決議はおろか、声明さえ採決できないでいる。イスラエルを擁護する米国が反対しているからだ。

 「国際社会はまったく無力」・・・って、米国とイスラエルは「国際社会をまったく無視」の間違いじゃないのか?だって、米国が拒否権をふりかざさなければ、イスラエルへの非難決議は採択されるんだから。

 ガザを支配するイスラム過激派ハマスが昨年来、イスラエルへのロケット弾攻撃を始めた。これに対して自国民を守る自衛権がある。これがイスラエル側の攻撃の理由であり、米国なども理解を示している。

 一連の報道でいちばん気になっているのは、「ハマス」という単語の前にほぼ100%の確率で現れる「イスラム過激派」という枕詞。朝日だけでなく、読売・毎日・産経・東京など各紙がそろってこの枕詞を使っているが、ハマスは民主的な選挙で政権を獲得したパレスチナの合法的な政府である。2004年の怪しげな大統領選挙で勝利したブッシュ政権に対して、「キリスト教原理主義共和党という修飾をつけることもなく、「2000年以降」「イスラエル人1人に対してパレスチナ人8人の割合でパレスチナ人を殺してきた」イスラエルの歴代政権に「過激派」という評価を与えることもなく、なぜハマスにだけ「イスラム過激派」というレッテルを貼ろうとするのだろう?まさか、ハマスの正式名称が「イスラム過激派ハマス」だと本気で思っていたりするのか?

 それから、イスラエルのガザ攻撃を引き起こした責任がハマスの先制攻撃にあるといったような説明は、イスラエルが60年以上にわたってパレスチナ難民の帰還権を認める国連決議194号を拒否して、パレスチナの占領を続けている状況下では、ほとんど寝言のようなものだと思う。60年間DVに耐えてきた妻が、ある日、夫に平手打ちを食らわしたら、たちまち半殺しにされてしまったようなものだ。自衛権イスラエルやDV野郎が支配を継続・強化するための道具じゃないんだから。

 だが、空爆や侵攻はパレスチナ側の犠牲があまりにも大きく、過剰な武力行使というよりない。イスラエルは直ちに侵攻を停止し、交渉による事態の沈静化をはかるべきだ。

 「空爆や侵攻」でなければ、パレスチナ側の犠牲もそれほど大きくはないし、武力行使も過剰とは言えない――と匂わせるあたりに、朝日の類まれなバランス感覚(ほめてません)が伺えます。本気で腐ってるな。イスラエル支援企業のリストに朝日も殿堂入りできるんじゃないのか?そしてあまりにもバグが多すぎるため明日に続きます。

 パレスチナ情報センター 「主なイスラエル支援企業」
 http://palestine-heiwa.org/choice/list.html